
夏樹(
佐藤江梨子)は、大型書店に勤める書店員。夏樹はポップを書くのが得意である。ポップとはお勧め本の紹介カード。夏樹の書くポップは、なぜかひとを惹きつけ、彼女の作った本棚には、さまざまなひとが集まってくる。ある日、彼女の本棚で万引き事件が起こる。夏樹が犯人として捕まえたのは、中年の女性だった。いつもさびしげに書店で時間をつぶしていた、つつましやかな主婦。しかし、盗まれたはずの本はなく、夏樹の間違いだったことがわかる。

謝罪のため訪れた家庭で、夏樹は運命的な出会いをする。高校生の光治(
柳楽優弥)である。光治は、暴力を振るう大学教授の父、万引きを繰り返す母、不登校の妹という崩壊寸前の家庭のなかで、たったひとりで、家族を立て直そうとしていた。そのまっすぐな姿に夏樹は心を打たれる。
夏樹と光治には共通する部分があった。それは「本」を支えに生きていること。夏樹には忘れたい過去があった。高校生のころ、失恋の痛手をきっかけに、援助交際をしていたのだ。その傷を忘れるために、手にしたのが数々の「本」だった。光治もまた、家庭でも学校でも居場所を見つけられずにいた。そんな光治を支えているのも、「本」だったのだ。ふたりは急速に親しくなるが、純粋な光治に対して、夏樹は戸惑いも感じていた。夏樹は、大手出版社に勤める鹿島(
要潤)とつきあい始めたばかりだった。

鹿島は、夏樹のポップを書くセンスや本棚作りの高く評価してくれるが、夏樹は鹿島に、ある不安を感じていた。
そんなとき、鹿島が夏樹の書いた書評を勝手に直して、新聞に載せてしまう。ショックを受けた夏樹は、鹿島とひどいけんかをする。同じころ、光治は、深夜の学校でいじめに合っていた。光治は夏樹に助けを求めるが……。
いまを生きるのに不器用なふたりは、お互いの傷に手を差し伸べることができるのだろうか。